13.特別償却?それとも税額控除?

   

 決算前に納税予測をさせて頂く際に多いのが、「節税対策として設備投資を検討しているが税制上の特典があるか?」また「特別償却と税額控除ではどちらがいい?」というご質問です。今回はこの「特別償却」と「税額控除」についてみていきたいと思います。

 

例)「パソコン80万円を購入した場合(定額法・耐用年数5年)

 

使える税制は?

・・・全額経費にできる少額減価償却資産の特例(取得価額30万円未満)は使用できません。国税庁のホームページ

 

・・・昨年、創設された生産性向上設備投資促進税制は金額(120万円以上)の要件を満たさないため、全額償却又は税額控除5%は受けられません。国税庁のホームページ

 

・・・経営改善設備(30万円以上の器具及び備品や60万円以上の建物付属設備)を取得した場合に税法上の特典(特別償却30%又は税額控除7%)が受けられます。中小企業庁のホームページ

 

以下の表をご参考下さい。

 

(仮に毎期、減価償却費計上前の利益が300万円あると設定)

特別償却を適用した場合 税額控除を適用した場合
(1年目)  (1年目)

・減価償却費計上前の利益 300

・減価償却費 40

(80万円×0.2+80万円×30%=40万円

⇒特別償却

・利益 260

・税額控除前の税金(税率25%以下) 65

(260万円×25%=65万円)

・税額控除 0

 

・納税額 65

・減価償却費計上前の利益 300

・減価償却費 16

(80万円×0.2=16万円)

 

・利益 284

・税額控除前の税金(税率25%以下) 71

(284万円×25%=71万円)

・税額控除 5.6

(80万円×7%=5.6万円)⇒納税控除

・納税額 65.4

(2年目)  (2年目)
・減価償却費計上前の利益 300

・減価償却費 16

(80万円×0.2=16万円)

・利益 284

・税額控除前の税金(税率25%以下) 71

(284万円×25%=71万円)

・税額控除 0

・納税額 71

・減価償却費計上前の利益 300

・減価償却費 16

(80万円×0.2=16万円)

・利益 284

・税額控除前の税金(税率25%以下) 71

(284万円×25%=71万円)

・税額控除 0

・納税額 71

(3年目) (3年目)
・減価償却費計上前の利益 300

・減価償却費 16

(80万円×0.2=16万円)

・利益 284

・税額控除前の税金(税率25%以下) 71

(284万円×25%=71万円)

・税額控除 0

・納税額 71

・減価償却費計上前の利益 300

・減価償却費 16

(80万円×0.2=16万円)

・利益 284

・税額控除前の税金(税率25%以下) 71

(284万円×25%=71万円)

・税額控除 0

・納税額 71

(4年目)

(4年目)

・減価償却費計上前の利益 300

・減価償却費 8

(80万円×0.2=16万円)

※簡易的に残存価額0で計算

・利益 292

・税額控除前の税金(税率25%以下) 73

(292万円×25%=73万円)

・税額控除 0

・納税額 73

・減価償却費計上前の利益 300

・減価償却費 16

(80万円×0.2=16万円)

 

・利益 284

・税額控除前の税金(税率25%以下) 71

(284万円×25%=71万円)

・税額控除 0

・納税額 71

(5年目)

(5年目)

・減価償却費計上前の利益 300

・減価償却費 0


 

・利益 300

・税額控除前の税金(税率25%以下) 75

(300万円×25%=75万円)

・税額控除 0

・納税額 75

・減価償却費計上前の利益 300

・減価償却費 16

(80万円×0.2=16万円)

※簡易的に残存価額0で計算

・利益 284

・税額控除前の税金(税率25%以下) 71

(284万円×25%=71万円)

・税額控除 0

・納税額 71

5年分の納税額合計は? 355   

5年分の納税額合計は? 349.4

 

 特別償却とは通常の償却費に上乗せして中小企業対策などの政策目的のために取得価額の一定割合(今回では30%)の償却費の計上を認めるものとなっており、減価償却費を先取り計上させることによって、設備投資した資金のキャッシュの回収が、早期に図られるものとなっています。

⇒課税の繰り延べ

 

 税額控除は、通常の減価償却費の他に、取得価額に一定割合(今回7%)で計算した税額の減免を行うものとなっております。

⇒減税効果

 

 どちらも減価償却費として計上できる金額は同じですが、5年先のことを考えるよりも投資した資金を減価償却費として少しでも多く計上して節税することにより、資金の回収を図りたいとお考えの経営者の方が実際は多いように感じられます。上記の表の他、有利不利の検討は利益の有無や耐用年数、償却期間、税率の改正など複合的に検討することが必要です。

《参考》

※生産性向上設備投資促進税制はメジャーな税制ですが、税額控除の率だけ比較すると経営改善設備の方が高く、また特別償却又は税額控除に不足がある場合、翌事業年度(又は翌年)に持越しができるため、どちらの税制にも該当する場合は別途検討が必要となります。

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