3.赤字会社の税金について

 

 赤字でも切れない税金との関係

  

 赤字会社でも決して税金と無関係というわけではありません。消費税や源泉所得税、法人税住民税の均等割などは、支払わなければなりません。

 源泉所得税については、常時10人未満の事業所は、半年に1回の納付で済む納期の特例が認められていますが、資金繰りを考えると、あえて毎月納付にして納付を平準化させるのも一つの方法です。

 法人住民税の均等割については、資本金等の額で納付額が決まる仕組みになっていますので、むやみな増資は禁物です。

 

※ダイレクト納付を利用している方であれば、任意のタイミングで納付することも可能です。

ダイレクト納付の手続き(国税庁のホームページ)

 

 

繰戻還付で税金を取り戻す

  

 黒字の翌期に赤字になった場合には、その赤字と黒字を相殺することにより、前期に支払った法人税を取り戻すことが出来ます。これは欠損金の繰戻還付という方法で、青色申告の中小企業者等なら適用することが出来ます。また、繰戻還付を適用せずに、来期以降に赤字を繰り越す選択も出来ます。

  

 

仮決算で納税を回避 

 

 ある程度利益が出た年の翌年というのは、法人税の予定納税額もそれなりに多額になることがあります。その翌年が赤字であると、予定納税の支払いも資金繰りを圧迫します。

 実は中間申告としての税金の納め方には、前期の実績によるものばかりではありません。

 当期の実績によることが可能です。仮決算というものを組んで中間申告すると、納税しなくて済むこともあります。決算と同様の作業が必要ですが、該当する場合には検討の価値があります。

 

 

長期的なタックスプランニング 

  

 赤字決算の場合、単年度で税金を考えるのではなく、長期的な視点が必要になることがあります。例えば、中小企業では、赤字の場合に減価償却を減らすことがあります。ただ、来期以降利益が出ることがある程度わかっているなら、当期の赤字が膨らんだとしても、減価償却費を税法で定める限度額いっぱいまで計上し繰越欠損金をうまく活用した方が、税務上は得策かもしれません。

 目の前の赤字に惑わされることなく、本当に会社にとって有利な選択を考えましょう。